甘麦大棗湯を長期使用しない方が良いというのは成人の場合だと思いますが、それは、甘草の代謝物、グリチルレチン酸が、内因性ステロイドの代謝(分解)を抑制して、長く作用が持続するからで、女性やご高齢の方には、偽性アルドステロン症による浮腫、高血圧の悪化が懸念されるからだと思います。
小児の場合は、内因性(自分で分泌した必要量の)糖質コルチコイドが抗ストレス作用を示し、その作用が甘草により持続できるので、ストレス反応が早く軽減され、不安が軽減し、多幸感を生むので、問題無いと思われます。
さらに、浮小麦は、実の入らない小麦で、フスマ成分が多い分だけ、トリプトファンが多く含まれ、脳内のセロトニン神経への前駆物質を供給するので、セロトニン神経が活性化され、心身の安定が得られます。
また、大棗(ナツメ)は、最近の研究で、オキシトシン神経受容体のアゴニスト(刺激作用)であり、脳内のオキシトシンが増えることによって、不安や恐怖心が軽減し、愛情や社会性が育つ作用が期待できます。漢方薬の中で、甘麦大棗湯の大棗の量が最も多いので、最も強くオキシトシン作用を発揮する漢方薬だと思われます。
さらに、神農本草経という最古の薬能書の毒性分類では、全てが上薬で、長く服用すると身が軽やかになり寿命が延びると書かれています。
したがって、現在の量で効いているなら、3か月は継続して、心身が安定してから終了すれば良いと思います。
明らかな神経発達症が認められる場合は、5歳を過ぎるまで、数年間、継続する必要があると思います。