一般的に近代科学において「薬」というと、病気を治すもの、病気を取り除くものという認識が強いと思います。薬は病気を治す為に使うものだから、自閉スペクトラム症(ASD)を、「発達特性の偏り」「人と変わった性格」のように考えている人にとって、投薬治療には、違和感を覚えるのは当然だと思います。
私は、小児神経科医として、また漢方専門医として、両方の立場から、ベストな治療法を提案したいと考えています。
まず、小児神経科医としては、ASDは、遺伝要因四割、環境要因六割による大脳の神経系、シナプス接続の形成不全があり、その結果として、神経形態学的には、前頭前野の機能不全、大脳辺縁系の情動機能不全があります。神経化学的レベルからみれば、セロトニン神経、オキシトシン神経、ドパミン神経の成熟遅延があります。
漢方薬には、神経化学的に、セロトニン、オキシトシン、ドパミンに作用する漢方薬があり、さらにシナプス形成不全を改善できる脳内エストロゲンの増加作用の期待できる漢方薬も発見されています。それらを駆使して、できるだけ早期に、脳発達を促す漢方薬を飲んで頂いています。
実際に、その発達の改善効果を、昨年(2024年)の日本東洋医学会学術総会で、シンポジストに招かれて、発表させて頂いたところです。
さらに、漢方専門医の立場から、漢方薬は「治未病」といって、病気になる前から体質改善できるものです。つまり子どもの様々な体質改善に使用できる「お薬」です。西洋薬は病気を除くために作られたものであり、体質改善の為に作られた西洋薬という概念そのものがありません。
この概念の違いが分からずに、子どもに薬を飲ませていいのかとと尋ねられても、答えようがありません。他人に何と言われようと、漢方薬の力を信じて、服薬継続してください。数年で、飲まなかった神経発達症の子との差がハッキリすると思いますよ。