春の気候の健康への影響(令和3年2月)

 立春は冬の水気から、土用を経て、春の木気にかわり、梅や桃や桜の花が咲き、若葉が芽吹き、虫も動き出す時ですから、立春から春の気候が始まり、健康状態に影響します。体に溜まっている瘀血が上半身に昇ってくるので、ニキビがふき出たり、花粉症から副鼻腔炎になったり、上半身の皮膚病が悪化したりしやすい季節に入ったと言えます。

 新型コロナウイルスで大変な状況ですが、感染のごく早期に漢方薬を飲めば、重症化を防げる可能性が十分にあることを、1月31日に『第1回 小太郎漢方東京web講演会』で、~COVID-19を重症化させないための 瘀血と痰飲(慢性炎症)の漢方治療と食養生~ というテーマの講演をしました。
 新型コロナウイルスは、無症状感染者からの感染の可能性が 5~6割あることが1月7日に研究報告されています(JAMA Netw Open. 2021;4(1):e2035057. doi:10.1001/jamanetworkopen.2020.35057 January 7, 2021)。つまり症状のある人を隔離しただけでは、コロナの流行を抑えきれないのです。
 三密対策などで感染を防ぐことも大切ですが、 誰から感染したか分からない可能性が5~6割ということですから、罹ったときに重症化しないように漢方で対処できるということをもっと広めるべきだと思い、講演を行ったのです。
 漢方薬によって、新型コロナウイルスに感染した糖尿病の高齢者が軽症で済んだという経験をしたので、それを踏まえて、感染初期のウイルスをオートファジー機能活性化とサイトカインストーム抑制作用によって重症化を押さえられる可能性が高いという講演をしました。

  また、日本の全国の感染データから、子育て世代の親の感染数に比べて、小児の感染数が極めて少ないので、小児は、6歳頃までに罹患する普通感冒のコロナウイルス感染による免疫によって、守られているようです。大人でも、漢方によって軽症で済めば、免疫が付いて、流行が早く鎮まる可能性もあります。

 この感冒用漢方薬は、花粉症にも有効です。
 基本的に漢方薬は、顕微鏡も何もない時代に開発された医学なので、病名によって使うものでなく、人の免疫や新陳代謝を改善して体調を整えることを目的に開発されたものです。同じような体調不良であれば、感冒でも、花粉症でも、同じ漢方薬が使えるのです。
 また、漢方薬には、時代を超えて流行してきた様々な疫病に用いられてきたという歴史的エビデンスがあるので、効果のあるものが淘汰されて現代に残っているのです。その疫病に有効な漢方薬の科学的機序が、最近になって、少しづつ分かってきたところです。
 科学的機序が不充分であっても、歴史的に疫病への薬効が認められているのですから、新型コロナウイルスにも活用できるはずです。事実、中国でも、台湾でも、韓国でも、漢方薬で重症化が防げているとの報告があります。

 春は、風が強く、花粉も飛んで、喉が荒れやすい季節ですから、花粉症とコロナウイルスの両方に効果が期待できる漢方薬を大いに活用して、コロナ禍を一緒に乗り越えていきましょう。
 新型コロナウイルス感染症は2類指定伝染病なので、当院では検査ができませんが、感染したかな?と思ったら直ぐにご連絡ください。漢方薬を試してみてくださいね。