桃の節句 啓蟄で動き出し疲れやすくなる季節(令和2年3月)

 季節の変化を表す「二十四節季」では3月5日が「啓蟄」です。地中の虫が出てくる季節で、三寒四温といって気温の変化が激しい時期ですね。次の3月20日の「春分」のお彼岸になれば、「暑さ寒さも彼岸まで」というように安定してきます。

 桃の花は梅の次に咲く春の花で、本格的な春を告げる花ですね。果物の中では、モモとナツメに体を温める働きがあり、ナツメは「大棗」という漢方生薬として、胃腸を元気にして疲れをとったり、精神的な疲労や不安を改善するために多用されます。

 この啓蟄の時期は、漢方医学においては、冬に溜め込んだ老廃物が体表に出てくる時期で、吹き出ものなどの皮膚病が悪化したり、喘息が悪化したり、古血(ふるち)が動き出して瘀血(おけつ)症状(=慢性炎症)が多彩になり、もともと多肉少菜の食生活などで強い瘀血体質のある人は、様々なウイルス感染症が引き金となって、気管支炎や胃腸炎など、炎症が長引きやすくなると言われます。

 新型コロナウイルスの世界的な流行が懸念されていますが、一般に、ウイルスは目に見えない微粒子なので、いつ、どこでウイルスに接触するか分かりません。ウイルスは星の数ほどあると言う人もいるくらい多種多様なので、重症になりやすい有名なウイルスには予防接種のワクチンが開発されています。

 こどもは、予防接種や多くのウイルスに感染しながら、そのウイルスに対する特異免疫を獲得して、大人になると、感染しても発病しなくなり、発病しても軽症で済むようになります。今回の新型コロナウイルスも、アメリカで試験的にワクチンが開発されたとの報道がありましたから、早くて半年から一年、遅くとも数年後には、ワクチンで予防できるようになると思います。

 それまでは、全てのウイルスや細菌に有効な、感染初期に重症化しないために人体の免疫システムとしてそなわっている「自然免疫」を、生活習慣の改善や漢方薬などで高め続ける努力が必要だと思います。具体的には、和食中心にして快食快眠快便すると、炎症を起こしにくい、免疫力の高い状態を維持できると思います。

 3月下旬から4月上旬は、転勤や入学など民族大移動の時期ですね。どうしても無理をしたり疲労が溜まりやすい時期ですから、免疫力を低下させないために、この時期だけでも、先人の知恵である漢方薬で、疲労しにくい、夏バテしにくい、体質改善を試して見てはいかがですか。

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