立秋を過ぎた残暑に注意(令和6年8月)

立秋を過ぎて残暑だというのに、35℃以上の猛暑日、30℃以上の真夏日が続いています。 国連事務総長は昨年「地球温暖化の時代は終わり、“地球沸騰”の時代が到来した」と述べて、熱中症への危機感を示しました。

 熱中症は、高体温の遷延による神経細胞障害を主体とする暑熱障害と、脱水による細胞損傷なので、涼しくするクーリングが最も大切なことであり、水分摂取だけしていれば良いというものではありません。
 重い熱中症になると、暑熱障害と脱水によって脳障害や多臓器不全になり、慢性疲労を伴うブレインフォグのような後遺症を残すので、本当に危険です。

 現在、同時にコロナウイルス感染(COVID-19)も流行し第11波と言われています。今までのワクチンや既感染による免疫が通用しないKP.3株に変異しているので、全ての人に感染リスクがあります。
 COVID-19の原因ウイルスSARS-CoV-2には神経毒性があって、脳神経細胞を傷害するだけでなく、 ミクログリア(脳内白血球、掃除屋さん)を、ウイルスが減少しコロナ感染症状が軽減してきた後に、3倍以上に活性化させて、 神経の連絡網の接合部シナプスを過剰に刈り込み消去してしまい、記憶や思考・認知機能を低下させ、強い疲労感を引き起こして、脳に霧がかかったようなブレインフォグ状態になりやすいことが分かっています。( Samudyata, N., et al. SARS-CoV-2 promotes microglial synapse elimination in human brain organoids. Molecular psychiatry 27.10 (2022): 3939-3950. )

 漢方医学的には、熱中症もCOVID-19コロナ感染も、瘀血(オケツ)・痰飲(タンイン)で、気血水が強く滞って慢性炎症化する病態と考えられるので、漢方薬で早めに対処すれば、軽症で済む可能性があります。
 立秋を過ぎると、猛暑と言っても朝晩の冷え込みによって、日中との温度差が拡大して大きなストレスになるので、気温の変化についていけずに夏バテする人が、これから増えてきますから、少しでも体調不良を感じた時は、早めにご相談くださいね。