夏バテは、胃腸虚弱で悪化するとお話ししました。
漢方医学は、陰陽太極論という陰陽バランスが基本となって、人の心身の体調を評価する座標がいくつかあり、いかに太極を健全な状態に維持するかが大切だと考えています。
まず基本となる座標は陰陽座標で、「八綱弁証」といいます。具体的には陰陽、虚実、表裏、寒熱というモノサシです。この座標を「気血水弁証」に当てはめて、気血水の過不足、循環状況を評価します。
夏バテは、水の脱水だけでなく、血の循環不全、気虚による疲労感など様々な要因が関与しますが、胃腸の弱い人は、食べ物から気血水を生み出し循環させる力が弱いので、気血水が流れず、循環不全をきたしやすく、局所に毒となって溜まって「痰飲」となり夏バテの病態に陥りやすいのです。
気血水が滞って毒となった病態を「痰飲」と呼びますが、夏バテは痰飲そのものなので、呼吸器に痰飲があれば、長く咳き込むようになり、五臓六腑それぞれに痰飲が生じるので、めまいや頭痛、異常な疲労感など様々な症状が出やすくなります。
そこで夏バテ予防のため胃腸を元気に保つには、まず、胃腸を冷やしすぎないことです。食物の温度は、井戸水と同じ18℃どまりとしておいたほうが良いと思います。氷が浮かんでキンキンに冷えた麦茶やビールは、胃腸の働きを低下させ、夏バテを悪化させ、難治性の下痢症になりやすいです。
脂っこい食事は胃腸の負担になります。動物性脂肪であるバターの多いチーズ、ヨーグルト、牛乳、生クリームたっぷりのケーキも高脂肪食です。夏は炒め物や唐揚げ、フライ、焼肉、バーベキューよりも、おだしを工夫した鶏や魚の煮物や温野菜を増やしたり、夏野菜や果物などで水分とビタミン類を多く摂るように心がけると、夏バテが防げます。
サッパリ系の冷たくない食事やスープで、ビタミンやミネラル、脂肪分の少ない良質の蛋白質を多く摂るように心がけてくださいね。