立冬は閉蔵に向かう準備の時(令和4年11月)

 11月7日は、暦の上では『立冬』です。秋が終わり、北の方から雪の便りが聞こえてくる頃で、これからどんどん気温が下がってくるので、冷え対策が必要ですね。

 一般的に人は、気温が安定しているときよりも気温の変化が大きいときに体調不良を起こしやすいので、立冬、立春、立夏、立秋の前後の時期が、健康にとって特に注意すべき時です。

 特に立冬は、漢方的には『冬の閉蔵』の働きが始まる時です。閉蔵とは、森羅万象が戸を閉ざして、次の『春の発陳』まで、陽気を蓄えて、潜伏させて、熟成させて、春の芽吹きの時期に一気に開花できるようにエネルギーを蓄える働きの季節ということです。

 木々の冬芽も春をじっと待ちながら、芽吹きのエネルギーを蓄えています。
漢方医学の基本は養生であり、病気にならない健康な心身を保つために、大自然の四季の変化を受けいれて、四季と調和して生きることがベストだと漢方医学の病態生理学の古典である黄帝内経素問の四氣調神大論篇第二に書かれています。

①早く寝て、朝は遅く起きて、必ず太陽が昇り、日の光がさすのを待つこと。
②陽が昇って大地が温まってから行動開始するようにして、寒気から身を守ることにつとめる。
③自分の意思は潜み隠すようにして、私意があるかの如く振る舞い、立志の思いを内に膨らませて春を待つ心でいること。
④寒気を去って温かいところに居て、しかし、汗をかいて皮膚の氣を漏らすことなく、陽気が奪われないようにすること。

 冬は心も閉ざされたように暗くなりがちですが、次に来る春を思う心を膨らませて、春に備えて、準備を進める季節です。これに逆らって氣が漏れると、腎陰虚となって咽が渇いて、春の乾燥に耐えられなくなり咽頭炎や扁桃炎を起こしやすくなったり、皮膚病が悪化しやすくなります。
 漢方薬で身体を温めて、胃腸を整えて、水分代謝を良くして、心身共に潤いのある状態にする季節が始まったと言うことですね。