便秘がアレルギーや健康に大きく影響する
便秘すると、糞便が腐敗して異臭を放ち、腸がただれて炎症を起こし、アトピー性皮膚炎を悪化させたり、慢性化すると高率に癌を発症します。 また腸は、人の免疫や自律神経などに大きく影響しているので、便秘を解消しないとアレルギー体質が良くなりません。
漢方医学は、 顕微鏡やレントゲンや血液検査などが何も無い時代に発展した医学なので、病気を見つけて取り除くのではなく、体から出てくる汗、尿、便などを五感で感じて、わずかな身体の変化にも対応して健康を維持する「治未病」、病気にならないように対応する医学、また、病気になっても気血水の拮抗循環バランスを診て、健康レベルを高める医術を開発してきました。
一般的には『快食、快眠、快便』と言われるように、毎日、スッキリと便が出ることが健康のバロメーターと言われています。
しかし、現実には、子どもから大人まで、便が硬めで出にくい人が大勢います。日本人の食生活が欧米化し、食事中の蛋白質が増えて食物線維が減り、蛋白質と食物線維の割合が逆転したために、それらをエサとしている腸内細菌が善玉菌から悪玉菌に変化したからです。
善玉菌は、野菜や海草などの難消化性食物線維を消化して、 酢酸、 乳酸、酪酸、プロピオン酸などの体に有用な短鎖有機酸を作り出し、 固まりにくい軟便になります。 赤ちゃんのウンチが柔らかくて酸っぱい臭いなのも善玉菌の働きで、 腸内を弱酸性に保って、病原菌が増えないように、腸や体を守ってくれて、腸の粘液バリアを増やして炎症や癌を防ぎます。
特に酪酸には、 制御性T細胞を増やして、 アレルギーやアトピーなどの過剰免疫反応 や全身の慢性炎症を鎮静化する働きがあります。
ところが悪玉菌は、蛋白質やアミノ酸をエサにして、硫黄化合物やインドール、スカトール、アミン、アンモニアなど有害物質を産生して、腸内をアルカリ性にするので、便中のカルシウムが脂肪と結合して、不溶性のカルシウム石鹸ができて便が硬くなり、便秘しやすくなります。便秘する悪玉菌がさらに増えて、臭くて、黒くて、硬いウンチになり、腸に炎症を起こしやすくして、全身に及んで、皮膚炎が悪化してしまいます。
この図のように、ヨーグルトや納豆、ぬか漬けなどのプロバイオティックス食材(種菌)をいっぱい食べるより、豆や野菜などの食物線維(種菌のえさ、畑の肥やし)であるプレバイオティック食材をいっぱい食べてください。
京都府立医大の内藤先生が、京都府で百歳を超える長寿の方々がいっぱいいらっしゃる丹後地方の人の大便と食生活を、京都市内の人たちの大便と食生活と比較した研究を行ったところ、長寿者の多い地方の方々は、圧倒的に食物線維の摂取量が多かったそうです。
結論として、便秘は、食物繊維不足であり、便秘が治るまで、徹底して食物線維を増やす食事をすれば、便秘が治るだけで無く、アトピーやアレルギーや様々な慢性炎症体質が改善されて、確実に、肌の調子が良くなり、美容にも良く、健康長寿になれるのです。