新型インフルエンザには漢方も有効ですか
(平成21年7月31日常陽ウィークリーより転載)
Q. 新型インフルエンザが心配です。何か対処する方法はありますか。
A. 中国の後漢時代にできた漢方のバイブル傷寒論には急性熱性疾患の治療がとても詳しく書かれていて、今でもその記載に従って治療すると風邪が速やかに治ります。
太陽病傷寒という病状がインフルエンザの症状に良く似ており、そこに載っている葛根湯がインフルエンザに有効なことを科学的に証明した研究があります。
事前に葛根湯を飲ませておいたネズミは50%致死量のインフルエンザウイルスを投与しても一匹も死ななかったそうです。サイトカインストームの引き金になるIL1αを抑制してアスピリンと同等の解熱鎮痛効果があり、IL12分泌を増やしてNK細胞やTリンパ球を活性化して重症ウイルス肺炎などを予防し悪化させない作用もあります。
葛根湯の生薬成分の桂皮(シナモン)に含まれる成分にその作用が強いそうですから、桂皮を含む桂枝湯や麻黄湯なども有効なはずです。傷寒論の条文から考えると葛根湯より麻黄湯の方が更に効果が高いと思います。