新型コロナウイルス感染症のパンデミックに思うこと
日本では、ようやく感染者数の減少傾向が見えてきましたが、まだ余談を許さない状況であり、全世界で30万人以上の人が亡くなられて、まだ猛威を振るっています。日本でも貴重な人材が亡くなられており、衷心から哀悼の意を表したいと思います。
私は、東洋医学を通して東洋哲学を学び、易経、孔子、老子、孟子などの古典に触れ、若い頃に霊感の強い方々に出会い、色々と学び、様々な体験を繰り返すうちに、あらゆるものに栄枯盛衰があり、諸行無常ですが、四季は春夏秋冬を繰り返し、日は昼夜を繰り返し、人も輪廻転生を繰り返し、命を超越した陰陽循環法則があることを強く信じるようになりました。
ですから今回の新型コロナウイルスのパンデミックも必ず終息すると思いますが、パンデミックそのものが陰陽循環しているように思えるのです。
2009年の豚インフルエンザのパンデミックの時は、日本では大したことはなかったのですが、世界的には多くの人が亡くなりました。この時は、インフルエンザ診断キットで抗原検査ができたので、当院を受診した豚インフルエンザに罹患した人が、感染以前から服用していた漢方薬によって、有意に初発症状が軽かったという研究結果を、日本東洋医学会に発表しました。
今回の新型コロナウイルス感染のパンデミックは、2009年の豚インフルエンザの時より重篤で、致死率は当初平均で2-3%と言われていましたが、高齢者や持病のある方はもっと高率です。
現在、日本東洋医学会全体で、漢方の臨床効果を確認しようと動いています。当院でも簡易な抗原診断キットが使えれば、漢方薬の臨床効果を確認できるのですが、今は、特定の施設でしか確定診断できないため、無理なのです。
しかし、科学的、実験的には、漢方薬によってサイトカインストームを抑制して重症化を防ぎ、オートファジー機能を高めてウイルスを消去することが、インフルエンザウイルスや他のウイルスで証明されています。
私が最も気がかりに思っていることは、温暖化が進み、デング熱などが台湾から沖縄に迫っている時代なので、もっと致死率が高い、50%といわれる鳥インフルエンザのようなパンデミックが、いずれまた繰り返される可能性が高いのではないかということです。
それでも、致死率50%ということは、二人に一人は生き残る訳ですから、生死を分ける違いは何なのかということを、今のうちに、もっとしっかり、この新型コロナウイルスのパンデミックから学ぶべきではないかと思います。
今回の新型コロナウイルス感染症は、漢方的には、舌が白膩苔で、強い痰飲状態で、気血水が滞っている人ほど重症化しやすかったと中医(中国の漢方医)が発表しています。さらに瘀血(血液ドロドロで慢性炎症体質)があると、もっと重症化するそうです。
つまり、これからも繰り返すであろう様々なパンデミックから生き残るためには、ウイルスや菌と直接的に戦う薬だけでなく、日頃から重症化し難い体質をつくり、自然治癒力を高める漢方の知恵も、積極的に取り入れて、医食同源なので、食生活も新しい様式に切り替える 必要があると思います。
東洋人に比べて欧米の人々の重症化率、致死率が高いことが注目され、BCGワクチン接種の違いなどが検討されていますが、漢方的にみれば、圧倒的に獣肉食と野菜・穀類摂取量に違いがあるので、「瘀血体質人口」の違いとして十分に説明できるのです。NHKスペシャル「新型コロナウイルス ビッグデータで闘う」でも全身の血管炎体質(瘀血)のある人がウイルス性血管炎やサイトカインストームで重症化するという結果が報告されていると放送していました。
現在の 物理的な感染予防だけを考えた、新しい生活様式の切り替えだけでは、不充分だと思うのです。
当院で日頃から指導しているものですが、瘀血体質を改善し、気血水の循環を良くする食材や調理法、免疫力に強く影響するストレスへの対処法など、さらに工夫して、広めていかなければと思っています。
陰陽循環法則から、豚インフルエンザがホップ(序の口)、新型コロナウイルスがステップ(予行演習)、今後起きる致死率50%近い未知のウイルスがジャンプ(本番)と考えて、今のうちにしっかり、学ぶだけ学び、しっかり工夫できるだけ工夫して、本番に備えることが最も大切だと思います。