立春にあたって(令和7年2月)
今年の冬は歴史的な大雪でほんとうに大変だとニュースになっていますが、豪雪地帯の新潟では、とても美味しいお米がとれます。また、雪が多いと真夏の渇水の心配が減ります。つまり大雪は悪いことばかりでは無いと考えるのが、漢方医学的考え方です。
漢方医学は、陰陽太極論という中国の古代哲学の考え方によって、人の心身の健康バランスを高め、不老長寿をめざして、「道」を極めようとした道教の導師や大家達によって、発展した医学です。無病息災を願って道を極めていたら、一病息災の境地に至った、というように、病気も健康のために必要なのだとする考え方です。陰陽のバランスには、良いも悪いも無いのです。陰陽のバランスが崩れて行きすぎてしまうことが良くないのです。
しかし、病気を必要だとは考えても、病気を肯定している訳ではありません。陰と陽は消長し循環して永遠に続くものですから、人として、一生涯、病気やストレス(陰)を克服しつづける努力の中で、さらに高い心の境地、素晴らしい考え方(陽)を見いだして、心の覚醒をしていこうというのが、老子の説いた道の教えだと思います。
今日は2月2日の節分です。明日3日の立春から、2025年の干支が変わり、新しい道が始まります。天干の「乙きのと」の働きと、地支の「巳み」の働きが、自然界に満ちあふれて、人の社会や人の健康に影響するので、それに応じた対応や工夫を各自それぞれに考えて実践することが大切です。
天干の乙(きのと)によって、樹木の陰の働きが天から降りてきて、しなやかに折れ曲がりながら伸びていくような働きが世の中に広まり、地支の巳(み)によって、蛇が脱皮や再生して成長するような働きが大地から湧き上がり、自分自身が紆余曲折を経て変革することによって今までの影の努力が報われるようになる年のようです。
今年はスギ花粉の飛散が早まっています。飛散量も例年より多いようです。漢方の瘀血体質(慢性炎症体質)があると、花粉症やアレルギーが悪化しやすくなりますから、花粉症を抑える抗アレルギー薬だけでなく、漢方の体質改善の治療を併用することをお勧めします。
立春を過ぎると、三寒四温が始まり、気温が乱高下しながら次第に温かくなるので、体調を崩しやすい季節になります。特に胃腸の弱い人は、メマイや頭痛、耳鳴り、のぼせ、肩こりを起こしやすい季節です。
漢方の真髄は「いまだ病まざるを治す」ですから、少しでも体調不良を感じたら、遠慮無く早めにご相談くださいね。