漢方からみた冬とは(令和5年11月12月)

 今年の秋は短かったですね。11月に入って4日、6日と、東京で2日間の夏日を経験したのは44年ぶりとのことでした。夏から一気に冬になった感じで、11月下旬から北日本に雪が降り、12月に入ると数十㎝の積雪になりました。厳しい冬になりそうですね。

 10月の院長メッセージに、冬の準備をと述べましたが、漢方医学に於いて「冬」にはどういう意味があるのでしょうか。
 陰陽太極論というシステム論で記述された漢方医学において、冬は陰の極まり、夏は陽の極まりですが、アルコールランプのように冷たいアルコール(陰)がなければランプの火(陽)を灯せないように、秋冬は、次に来る春夏のためにあります。
 秋冬の働きによって生命を動かす原動力である「気」のエネルギーを蓄えることができます。蓄えた「気」のエネルギーを春に一気に開花させて、夏に葉を繁らせて秋に実を結び、樹木は一年ごとに年輪を重ねて逞(たくま)しくなります。

 人も同じです。「心身一如」の漢方医学に於いては、冬は心を磨き育てる大切な時期であり、夏は身体を健やかに伸ばす季節と理解します。
 辛い厳しい冬のような冷酷な状況に対しても、心を傷つけることなく、 自分自身の内面性が育って向上できる糧(かて、栄養)と受け取って、心から感謝できれば、心が温かくなるので、冷酷な状況を乗り越えて行けると思います。
 自然のエネルギーをいっぱい蓄えている漢方薬には、心身のエネルギーを補充して温めることができる、不思議な力がありますから、辛いときには我慢せずに、いつでもご相談くださいね。